レドニツェ&ヴァルチツェ Lednice Valtice

 南モラヴィアのオーストリア国境近辺に、約200平方kmにも及ぶ広大な森と葡萄畑の中に池と小川、そして幾つかの城が点在している地域がある。1997年に世界遺産に登録されたレドニツェ-ヴァルチツェ地域である。1249年、国境周辺の領土を王から授与されたリヒテンシュタイン家は、その後1608年にようやくこの地を居城として定め、それ以降、周囲の自然を含めた景観開発を行った。手元の地図では、以前に紹介したブジェツラフとレドニツェ、ヴァルチツェを結ぶ三角形の中に十二の城が存在する。

 レドニツェ城は観光の目玉となっている城で、ガイド付で中を見学できる。城の内部はチェコの他の城と比べて特筆すべき点があるわけではない(と素人目には思われる)。しかし、城の背後には何十という小島の浮かぶ大きな池が広がり、その周囲を散策するコースがオススメである。馬車やボートが公園内を運行し、当時流行したのであろう廃虚の跡までつくってある。池を挟んで城の反対側にはミナレットと呼ばれる塔が聳え、そこからの眺めも素晴らしい。城内部の見学は45分から1時間位だったと記憶するが、池の辺を一周するとそれ以上の時間がかかる。

 一方ヴァルチツェ城は、数種類の試飲ができるワイン・セラーという印象が強い。ビールで鳴らすチェコと違い、モラヴィアはワインがメイン。なかでも南モラヴィアのズノイモやミクロフなどは産地として名高い。ここを訪れたとき、なんとなくお土産に買って帰りたくなった。下戸の筆者は自分で味を確かめられないので、売り子のお姉さんにオススメをたずねた。「白と赤、どっちがここの主流なの?」「両方です」「ム。じゃあ両方ください」うまくのせられたのかも、と後悔し始めたのは、その日の夜、二本のワインでさらに重くなったリュックを背負い、宿を求めてブルノの街をさ迷っているときであった。