フラデツ・クラーロヴェー Hradec Králové

 「王の城」という名前が示す通り、この街は中世初期から君主の重要な拠点であった。フルジム、チャースラフ、コウジムといったチェコ東部は、プラハを中心とした盆地、あるいは北西部のジャテツ地方と共に、早くから開けた地域である。11世紀から地方行政の中心となる城塞が築かれ、そして14世紀には何度か「王妃の街」となった。

 旧市街はラーベ川とオルリツェ川が合流する小高い丘の上にあり、駅から東に真っ直ぐ1kmほど進むと、川の向こうに1307年に建てられた聖霊教会のカテドラルが見えてくる。このカテドラルの横にはルネサンス様式の白塔が、塔の下にはバロック様式の聖クリメントゥス礼拝堂がある。他にも歴史地区にはバロック様式の建物が多い。また、丘を囲む市壁の北側には公園が広がり、市民の憩いの場となっている。この街の良いところは、駅を中心とした新しい地区が旧市街に至るまでの雰囲気を壊さないことである。ここは重要なポイントで、その点では、例えばヘプなどはがっかりした思い出がある。

 筆者はこの街を訪れたとき、駅前でまず驚かされた。何に驚かされたかというと、駅前に自転車がズラッと並んでいたことにである。それがどうして驚きかということは、プラハに住んだことのある人間でないと理解しづらいのだが、プラハでは日常的な移動の手段として自転車を使うことはない。理由は二つある。まず丘が多いこと。スポーツとしてマウンテン・バイクに乗っている市民なら見かけることもある。その点、チェコの東部は平坦な地形が続いている。二つ目は防犯上の問題である。筆者の友人はスーパーで買い物をしている間に自転車を盗まれた。その間わずか10分。もちろんカギはしてあった。プラハ市民は必ず自転車を家の中に保管しているのである。そんなわけで、ママチャリがズラッと並ぶ光景に懐かしさを覚えたのである。理解していただけただろうか?