ヘプ Cheb 画像はこちら

 ドイツ語でエーゲル(Eger)と呼ばれるこの街と周辺地域がチェコの領土となったのは、かなり遅い。9、10世紀にはスラヴ人の居住区が成立していたらしいが、貿易路が交差するというその立地条件のために、短期的な例外を除いては神聖ローマ帝国の版図に組み込まれていた。完全にチェコに帰属することになったのは、ようやく15世紀に入ってからのことである。現在はチェコの最西端、ドイツとの国境の街として知られている。

 ヘプ一番の見所は、何といっても広場(Náměstí krále Jirího z Poděbrad)だろう。少し奥が広がった長細い広場を囲む家々の壁は、すべてパステル調にまとめられ、統一された屋根の赤レンガと共に目を奪う。広場の一番奥にはシュパリーチェク(Špalíček)と呼ばれる建物がある。正確には建物の集合体なのだが、周りを取り囲む建物より一回り小さく、その色取り取りで鮮やかな壁の色ともあいまって、まさにおもちゃの家のように見える。ところで、これを読んでいる男性諸氏は、女性の「これかわいい~!かわいいと思わない?ねぇ」との問いに悩まされた経験はないだろうか?筆者には「かわいい」という観念が欠如しているのか、こう言われると、いつも返事に詰まるのだが、恥ずかしながら、このシュパリーチェクに関しては「かわいい」という表現しか思い付かなかった。これはガイドブックの写真よりも実物を見ることをお勧めする。

街の外れには、12世紀の後半に神聖ローマ皇帝のために建てられたヘプ城(Chebský hrad)がある。今も部分的にその姿を留めており、礼拝堂(kaple sv.Erharda a Uršuly)や黒塔(Černá věž)を見学できる。それ以外に目立つ大きな建物といえば、聖ミクラーシュ教会(kostel sv.Mikuláše)ぐらいだろう。だが、狭い路地を歩き回り、小さな教会が不意に目の前に現れるのを楽しむのもよいかもしれない。

ヘプは小さな街なので、無理に一泊しなくともよい。近くの温泉街マリアーンスケー・ラーズニェ(Marianské Lázně)からの日帰り旅行、或いはドイツへ行く際に立ち寄ってみてはいかがだろうか。